キバナオウギ
<基本情報>
マメ科ゲンゲ属の多年草で、学名はAstragalus membranaceusです。
日本では主に北海道で栽培されます。
本種または同属のナイモウオウギ(A. mongholicus)の根は黄耆(おうぎ)という生薬です(日本薬局方に収録)。
根は医薬品(生薬)として利用されますが、茎と葉は食品などにも利用可能です。
<成分>
Astragaloside IV:
日本薬局方の確認試験に用いられる薬効成分です。抗酸化作用、抗糖尿病作用など、さまざまな薬理活性があります。
Formononetin:
マメ科植物に含まれるイソフラボンであり、キバナオウギ以外では、レッドクローバーにも多く含まれることが知られています。
formononetin自体は、「抗がん作用」について広く研究されており、様々な細胞内シグナルを介してがん細胞のアポトーシスを誘導します。
<生薬として>
北海道の十勝地方では、生薬用のキバナオウギ(=根を使用)が栽培されています。
根(黄耆)は強壮薬・補気薬とみなされる処方などに配合されます。
気の働きを整え、胃腸の働きを高めます。弱った体を回復させ、むくみや発汗の異常を解消します。
黄耆が配合されている漢方薬例は以下です。
十全大補湯: 疲労倦怠・食欲不振・手足の冷えに。
補中益気湯: 虚弱体質、疲労倦怠に。
<食品として>
「根」は中国・韓国で薬膳料理の素材として食されます。
臓腑の働きを高めて気虚証を改善する「補気類」として利用され、本場の参鶏湯(サムゲタン)にも用いられます。
「葉、茎、花」をお茶にしたものは「ペイチー茶」として中国で古くから飲まれています。
日本ではお茶を含め、食品として利用されるケースは極めて稀です。
<陸別町での栽培歴>

・病害は少なく、比較的栽培しやすいです。
・2年目以降は草丈が2 m程度となるので、倒伏防止の工夫が必要です。
・栽培地付近にうどんこ病の発生源がある際には注意が必要です。
・冬に-30度以下になる陸別町においても問題無く越冬します。